4WD車なら冬道でも滑らないから安心安全!という誤解

「北海道の冬道」と聞いて、たいていの方は雪が降り積もった道路を想像するのではないかと思います。で、そんなところを車で走るなんて無理! と思うかもしれません。
まあ、これは半分あたりで半分はずれ。道民から言わせていただくと、雪道なんざ何も怖くありません。FF だろうが FR だろうが 4WD だろうが、軽自動車でもトラックでも普通に走れます。
しかーし! もっとも恐ろしいのがアイスバーン。スケートリンクのようにツルツルテカテカな氷道こそ最大の難所です。で、こうなると 4WD とか関係ありません。
北海道の冬道はこうなっている
僕の視点から「冬道」をわけると、このようになっています。
- 夏場と同じで乾いたアスファルト
- 雪が降り積もった雪道
- 雪がかなり降り積もった雪道
- 積もった雪がとけたシャーベット道
- 雪が中途半端にとけてそれが凍った “わだち”
- ツルテカな氷道
北海道と言ってもそれはそれは広いので、冬でも夏とさほど変わらない路面状況の道路もあります。ただ、ちょっと濡れた状態であれば凍っている可能性があるので注意が必要。夜間はとくに濡れているのか凍っているのか判別できません。
その点、やわらかい雪が積もっている道というのは走りやすいです。さすがにノーマルタイヤだと危険ですが、スタッドレスタイヤであれば発進・停止・カーブは夏と同じ感覚です。
ただ、除雪が追いつかないほど雪が深くなっていると、ハマって動けなくなることがあります。加速していけば乗り越えられる! と自信満々でダイブするアホが毎年必ずおります。JAF は稼ぎ時。
4番目のシャーベット状態は、おもに春先。このとき気をつけなきゃならないのが、意外にハンドルをとられるということです。まっすぐ走っているぶんには問題ありませんが、車線変更するときなんか危ないかも。
このシャーベット状態のまま、雪がとけきらずに凍ってしまうとけっこうキツイ。わだちにそって走ればいいのですが、それもきれいに削られているわけじゃないので車は常に揺られます。氷の刃みたいになっているので、タイヤがパンクしないかひやひやもんです。
そして、最悪なのが凍った道。
4WD が滑らないというのは誤解です
ひと昔前、スパイクタイヤ禁止令が出て、どの車もスタッドレスタイヤを着用するようになりました。これでどうなったかというと、道路の表面がきれいに削られ、そのまま凍ったツルテカ状態の道路が出現するようになってしまったわけです。
雪が降らず、冷たい風が吹きさらすような悪条件が重なると、あたり一面はスケートリンク状態。そりゃキレイなもんです。運転どころか歩くのも一苦労。
で、そんな状況を知ってかしらずか「4WD だから大丈夫!」と豪語する猛者がいます。たいてい道路わきに転落していますが。
もうね、凍った道でいったん滑り出してしまえば、駆動方式なんて関係ないです。関係あるのは、駆動方式に伴う運転技術とスタッドレスタイヤの性能。あと、運ですw
北海道の冬道に4WDは適しているのか
さてさて。実は 4WD といってもたくさん種類があります。
こまかい話はさておき、「なんちゃって4WD」と「しっかり制御4WD」があります。いや、正確にはもっと細かくて、メーカーによって呼び方も違うので割愛します。
いずれにせよ、4WD のメリットは「雪道でハマりにくい」という点だけです。で、発進時も FF や FR に比べると安定しております。ただ、シャーベットが凍ってツルテカな上り坂の途中発進、なんて状況だと、4輪すべて空回りすることもあります。
数年に1度遭遇しますが、大渋滞で時速 5km ぐらいでしか進めません。歩いたほうが確実に速いです。
カーブは運転技術次第
高級車の “しっかり制御” になるとちょっと違うのですが、凍った道のカーブは 4WD のほうが滑りやすかったりします。
アイスバーンの状態で初心者が運転するなら、カーブに限って言えば FF > 4Wd > FR という感じ。
右がわにカーブしている状態を考えてみましょう。
FF の場合、「曲がりきれずに直進してしまう」という状況になります。こうなると、ブレーキを踏みつつさらにハンドルを右にきらなければなりません。タイヤがグリップしてくれて、運が良ければ曲がれます。
FR の場合、「曲がりすぎてスピンしてしまう」という状況になります。こうなると、ハンドルは逆に切らなければなりません。俗にいうドリフトですな。おそらく初心者はブレーキを踏んでそのままスピンします。
で、4WD の場合はというと、FF と FR の悪い面を両方兼ね備えているわけです。前輪は右側に向かって進もうとし、後輪はまっすぐ進もうとする。滑らないから大丈夫! と油断しているとふつうに事故ります。
図解は端折りますw 下記のサイトでイメージできると思います。
まあ、車種によってちょっとずつ特性が違うんですが、それぞれの特性に合わせて最適なコントロールができないとどんな車でも滑ります。
というか、
いったん滑り出したら車は止まりません
摩擦抵抗がなければ、車の性能なんて関係ないっす。
おすすめスタッドレスタイヤ
性能よりも重視すべきなのがスタッドレスタイヤでございます。
各メーカーの走行試験を見たことがあるのですが、トータルしておすすめできるのはブリジストンの BLIZZAK です。
どのメーカーか迷ったら、BLIZZAK 買えば間違いありません。あとはタイヤ屋さんで聞いてください。
当たり前ですが、ダンロップ系列で聞けばダンロップがおすすめと言われますw
さいごに
というわけで、4WD だから滑らないというのは誤解だ、というお話でした。
あとは本当に運転がうまいかへたか。でも、過信するとこれまた事故の元ですから、車間距離をとって安全運転、というのが確実です。
もっとも確実なのは、車に乗らない、ってことですかね。こちらに非がなくても、相手からぶつかってこられたらどうしようもないし。
北海道の冬道を走るさいは、くれぐれもお気をつけくださいまし。
ディスカッション
コメント一覧
俺はギャランに乗っていて北海道に住んでいるが
スタッドレスタイヤが必要と思った事は無い
昔、FFのセリカGTからフルタイム4WDのRAV4に乗り換えたときのことです。
3月も間もなく終わりという頃、中央高速を走っていたら、突然の大雪。
ほどなく通行止めとなり、談合坂ICで強制的に降ろされました。
チェーンを巻くため他の車が路肩で作業を始めましたが、私はそのまま乗り続けました。
何とかかんとか岡谷JCの下までたどり着きましたが、路面は凍結してピカピカに光っています。
車の外に出てみましたが、人でさえ、立っているのがやっとという状況です。
そんな中でさえ、RAV4はちゃんと走ってくれました。
タイヤはスタッドレスではなく、オールシーズンタイヤです。
もちろんブログ主さんのおっしゃる通り、4WDでも滑らないことは無いし、滑ってしまえば同じことでしょう。
しかし、限界点が違います。
FFやFRが尻を振るような場面でも、4WDなら走れる場所も多くなる。
片輪のみ氷着路に乗っかった場合でも、ちゃんと走ってくれます。
豪雨の高速道路でも、ハイドロプレーンを起こすことなく走ることができます。
但し、やはり過信は禁物。
4WDはトルクがかかっていないと意味が無いし、一旦滑る始めると、滑っている間は対処の使用がありません。
要するに4WDの特性をよく理解し、上手に使うことなのです。